『ブラインド・スポッティング』(2019)
怖いのは銃が社会に出回っていることではない。感情の振れ幅が大きい人々の間で銃が出回ることが怖いのだ。
そのような情緒の振れ幅が、この映画には大きく出ている。
自衛のための銃撃と、示威のための銃撃。
抜かず置いてある刃と、斬って脅かす刀と言い換えた方が分かりやすいか。
終盤、POVで撮られたカメラの切り返しには息が詰まる。
ここで行われるカメラワークは、まさに「ブラインド・スポッティング(同時に同じものを見れない)」というテーマを体現するに相応しい撮り方だ。
この映画はブラックカルチャーの訴え。というシングルイシューではない。
人は同時に同じものを見れないことを、終始映している構造の映画だ。
それでも、ラストシーンの車に並んで乗る二人はには安堵を感じる。
ある意味、ロードムービー調に終わらせたのは、社会に送るささやかな希望か。